不動産投資の購入前分析

不動産投資の購入前分析:机上査定

不動産投資の購入前分析:机上査定

不動産投資する場合、めぼしい物件がみつかったときに、全ての物件を現地確認してから、購入判断をすると、無駄がおおいです。

このため、まずは対象の収益不動産を机上で査定し、検討の土台にのると判断して、はじめて現地確認したほうが効率がよいです。

具体的には、どの程度、賃貸需要があるエリアなのか、そもそも家賃はどれくらいとれるのかなど、机上査定で、素早く見極める必要があります。

この場合、どんな観点でチェックしていけばいいのでしょうか?

その「確認方法」と「確認時間」の目安を詳しくみていきます。

⓪マイソクで基礎確認

確認方法:マイソク

確認時間:1分

市街化区域、違法性有無、再建築可否

土地は所有権か借地か、市街化区域かどうか、違法性有無(特に建ぺい、容積)、再建築可否かをまず確認しましょう。

一般的な金融機関は、土地:所有権、かつ市街化区域、かつ、違法性無、かつ、再建築可能でないと、融資がでません。

不動産投資をされる方は、基本的には融資を使うことが前提なので、そもそも、融資の土台にのらない物件を検討する意味はありませんしね(^^;
もちろん現金買いなら別ですが(^^/

耐震性(新耐震か旧耐震化)

次に新耐震か旧耐震、みておきましょう。

新耐震:1981年6月1日以降に建築確認申請が行われた物件

 =>震度6強~7程度で倒壊しないような設計になっている

旧耐震:1981年5月31日以前に建築確認申請が行われた物件

 =>震度6強~7程度の地震は設計上、明確には考慮されていない

注意点としては、築年月日が1982年1月1日だっととしても、建築確認申請の書類の日付が1981年5月31日以前だと旧耐震になります。(建築確認申請関連の書類は、仲介の不動産が入手している場合もあれば、入手していない場合もあり、入手していない場合で急ぎの場合は自分で区役所にいけば確認できます)

とくに、1棟マンションの場合は、建築に時間がかかることがあり、ぱっとみ築年月日で新耐震にみえても、実際は旧耐震パターンがあるので、気を付けたほうがよいですね。

何はともあれ、新耐震物件だと、やはり地震に対して、ある程度耐えてくれそうで、安心感がありますし、融資がでる確率も上がります。(補足:旧耐震を購入対象にいれるかは、銀行の審査基準を確認のうえ、あらかじめ決めておきましょう)

上下水道

また、上下水道の状況についても確認しておきましょう

下水道がない場合

下水道がなく、浄化槽物件の場合は、別途維持費がかかるので、一応、その維持費も確認しておきましょう。

上水道がない場合

上水道がなく、たまに井戸の物件があります。こういった物件は井戸をくみ上げる機械のメンテが必要になる点と、健康被害がでたときに大家側の責任がとわれるリスクがあるので、物件価格がそれなりに安くない限り、避けたほうがいいと思います。

①Homesで「空室率一覧」と「ヒートマップ」で賃貸需要確認

確認方法:Lifull Homesのサイトで「空室率」と「ヒートマップ」確認

作業時間:2-3分

難しいことを考えずに、とりあえず、どの程度、賃貸需要があるかを確認する場合に便利なのが、Homes提供の「空室率」と「ヒートマップ」です。

Homes提供の空室率

まずは購入しようとしているエリアの空室率をみてみましょう。

空室率が20%以下なら、おおむね問題ないと思います。

逆に30%を超えるエリアなら、空室リスクがあがるので、利回りの高さが必要と考えたほうがベターです。

なお、茨城県の例だと、守谷市や取手市は空室率が20%以下なので、比較的、賃貸経営しやすいエリアかと思います。逆に空室率が40%を超える土浦市は、賃貸経営の難易度は少し高めと考えるべきでしょう。

Homes提供のヒートマップ

市単位のエリアの空室率で傾向は分かりますが、もっと詳しく調べる場合は、Homes提供のヒートマップをみると、賃貸需要がわかりやすいです。購入を検討するエリアが真っ赤(いっぱい検索されている)だと、賃貸需要は現時点では問題なしと考えてよいです。

以下は、茨城件の守谷市の守谷駅近辺の例です。守谷駅近辺は真っ赤なので、駅近辺の物件であれば、賃貸需要は底堅いと考えて、問題ないです。

なお、田舎にいくと、紫の点がぽつぽつ、ついてくる感じになるので、賃貸需要の詳細な分析が必要です。

②乗降客数

ツール:WikipediaかGoogle検索

作業時間:1-2分

WikipediaかGoogle検索で、最寄りの駅の乗降客数は確認しましょう。

1日10万人以上 かなりの人気駅です、将来的にも賃貸需要は手堅いエリアである可能性が高いです

(例)

1日5万人以上 特急や急行が停車するような人気駅です。駅力は高めなので賃貸需要はかなりあります

1日3万人以上 現時点では賃貸需要問題ないケースがほとんどです

1日1万人以上 ある程度人がいるエリアですが、賃貸需要には個別性がでてきますのでエリア分析しましょう

1日5000人以上 しっかりとエリア分析がしたほうがよいです

1日3000人以上 要注意が必要です。本当に客付けできるか確認したほうが

それ以下   電車はほとんど使われていず、駅近であっても、たいした意味がないことが多いです。しっかりとエリア分析が必要です

③現況家賃と想定家賃より利回り算定

3-1現況家賃

確認方法:レントロール

確認時間:2分

資料請求するとレントロールがもらえるので、こちらで確認しましょう。

3-2想定家賃

確認方法:SUUMO

確認時間:3-4分

これを調べるには、SUUMOで、実際に購入しようとしているエリア、間取りや平米数や築年数を設定のうえ、どれくらいの家賃がとれるのかを確認しましょう。

空室の部屋があれば、ここで算定した家賃をもとに、利回りがどうなるのかを算定します。

満室であれば、現況家賃と相場家賃の乖離がどの程度あるか、確認します。

慣れないうちは、競合物件の平均的な家賃より、少し下めで想定しておくと、安全かと思います。

④どういう賃貸需要があるのかの確認

ツール:GoogleMap

作業時間:2-3分

これは都会の物件や県庁所在地などであれば特別に確認しなくてよいです。

気をつけるべきは、郊外エリアです。

特に、賃貸需要が特定の大学、特定の企業によって、創出されている場合、その大学、企業が撤退すると、目もあてれないような状態になります。

これは、ざっと物件周辺の地図をみてみて、周囲に何があるのかを確認すれば、なんとなくわかることが多いです。たとえば、物件の周囲に会社らしきものは、ほとんどなく、大学が一つだけあるようなエリアであれば、そのエリアの賃貸重要は、その大学によってもっているのだなと推測できるかと思います。

こういう場合は、利回りが高くないと購入は見送ったほうがよいでしょう。

一方で、都心に近付くにつれて、賃貸需要はいろいろな要素で創出されるので、特定の大学が移転したとしても、別の賃貸需要でカバーできることが多く、比較的安定感のある経営ができる可能性が高いです。

⑤周辺施設

確認方法:GoogleMap

確認時間:3~4分

5-1高評価施設

スーパー、コンビニ、ドラッグストアあたりが物件の近くにあると、単身向けの物件、どのような間取りの物件であっても、利便性がたかいエリアと入居付に有利です。

特に有利になるのはショッピングモールが近いとかなり有利になります。

これはチェックするようにしましょう。

ファミリー向けの物件であれば、小中学校の距離は確認しておきましょう。

お子様がいらっしゃる場合、学校が近いことは安心感につながり、客付に有利に働くことが多いです。

高齢者もターゲットにする場合は、病院に近いと好まれる場合があります。

5-2評価が下がる施設

まず、当たり前ですが、お墓や反社会勢力の事務所などが物件近くにあると、確実にマイナスです。

その他、気をつけるべき点としては、

A.極端にうるさくないか(特に幹線道路や線路や踏切)

B.高圧電線が近くにあるか

⑥物件周囲(地勢・前面道路・擁壁有無)の様子

確認方法:マイソク&GoogleMapストリートビュー

確認時間:2~3分

6-1地勢

マイソクに地勢の記載があるので、そこで簡易的に確認します。

さらに詳しくみる場合は、GoogleMapのストリートビューで確認できます。平坦がベストです。

ただ、ある程度の坂は他のメリットがあれば、カバーできることがあるので、総合的に判断しましょう。

※補足:地勢は現地確認時に改めて確認必要

1点気をつける点としては、現地にいってみると、かなり急こう配な坂を駅から延々と登る必要があるよな物件もあります。この場合は、そこそこ大きめのデメリットになるのと、自分が電車で物件にいくのが億劫になるので、総合的に判断しましょう。

6-2擁壁有無

マイソクに擁壁有と記載あれば、擁壁があります。記載がなくても、擁壁がある場合があるので、ストリートビューで確認します。

擁壁があると、擁壁のメンテナンス責任が発生します。この擁壁が破損したとき、保険等でカバーする場合が難しい場合があり、擁壁物件の場合は、価格が安くないと購入すべきではないと思います。

6-3前面道路の広さ

駐車場がある物件の場合、前面道路が狭いと、いやがられる傾向があります。(特に田舎)

田舎で駐車場がないよりは、はるかにましですが、前面道路が狭い物件は、前面道路が広い物件よりは優先度おとされるので、家賃を落とすなどの対応が必要になるケースがあります。

⑦駐車場が必要かどうか

確認方法: いわゆる田舎かどうかで判断 or 客付け会社に電話

確認時間:1分~10分

電車が1時間に1~2本の田舎の物件だと、ほぼ間違いなく車社会で、駐車場がないと客付けにかなり苦戦すると考えて問題ないです。このため、1世帯に1台駐車場がある物件でないと、買ってから苦労するでしょう。

一方で、東京都の23区のような、電車が深夜まで数分刻みで走っているような都心部は駐車場なくても、まったく問題ありません(あるにこしたことはありませんが、なくてもOK)

では、田舎でもなく都心でもないエリアはどう考えたらいいかというと、ぶっちゃけ、地場の賃貸仲介会社にヒアリングしてみるのが一番確実です。

賃貸仲介会社への電話スクリプト

賃貸仲介会社に電話確認するとしたら、どのようにヒアリングするとよいかというと、仲介会社が忙しくなさそうな時間(できれば土日は避けたいところ)に、電話してみましょう。

電話スクリプト例

「xxと申します。現在、○○の場所にあるアパート購入を検討(or 予定)しているのですが、御社に管理や客付けをお願いした場合、駐車場がついてない物件になるのですが、ぶっちゃけ空室埋めること現実的に可能でしょうか」

と聞いてみましょう。

管理や客付けをお願いするという前提にしておくと、先方も少しは丁寧に回答してくれる場合が多いです。(実際に管理や客付けお願いすることあると思うので、そのあたりは仮定でもいってしまっても問題ないという見解です)

なお、相手が気を使って、何か本当のことをいってない雰囲気を感じたら、建前を話している可能性があるので

「購入契約の手前なので、実際のところを教えて頂けると大変助かります」

など、本音を引きだす工夫をするとよいと思います。

そこまで、いえば、だいたい

「ぶっちゃけ、駐車場内ときびしいです」とか「本当に駐車場なくても客付けできますよ」とか教えてくれることがおおいです!

ただし、地場の不動産業者に電話すると時間をとられるので、こちらは、現地確認時に後回しにしてもよいでしょう。

⑧人口動態

確認方法:ネットで検索

確認時間:2分

人口が今後、どのように推移していくかも、確認しておきましょう。人口が激しく減少することが予想されるエリアであれば、相応の高い利回りがでていたほうがよいです。

一方、口が増加していくエリアもしくは微減におさまるエリアであれば、利回りについては多少、低くても購入するという判断もあります。

⑨余裕があれば:床上浸水がおきたことのあるエリアかどうか

ツール:ハザードマップか仲介会社に問い合わせ

確認時間:3分

近年、風水害が激しくなっており、特に大規模な洪水があったエリアの場合、入居希望者は床上浸水があったかをかなり気にしているケースがあります

このような床上浸水があったエリアの場合、2Fは問題なく決まるが、1Fの部屋がまったく決まらないといった罠があるケースがあります。

このあたりは、物件問いあわせ時に、確認しましょう。

特に床上浸水があったことが分かった場合は、賃貸仲介会社に、1Fの空き部屋を埋めれるかの感触は必ずきいておいたほうがよいです。

このヒアリング結果しだいでは、購入を見送るか、指値で利回りをあげるか、などの対応が必要になってきます。

あとは、ハザードマップをみれば、洪水リスクについては、ある程度把握できます。一方で、あまり細かい点まで、気にしていると、ほとんど買える物件がなくなってしまうので、そのあたりが悩ましいところでもあります。

まとめ

いかがだったでしょうか。不動産は個別性が高く、かつ、高額な買い物なので、毎回、しっかとりした分析が必要です。

ただし、全ての物件を内見してたら、いくら時間があっても足りません。まずは現地確認前に、まずは、しっかりとした分析をして、購入検討土台にのるか、判定していきましょう。

なお、文章で書くと、大変な作業にみえますが、慣れてくると机上査定は10分から15分もあれば完了します。まずは、購入を検討しているエリアの物件で、練習で物件分析をしてみましょう♪

そして、検討の土台にのると判定した物件については、どんどん内見していきましょう☆

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ニャルK
ニャルK
会社員をしながら不動産投資(アパート10棟、戸建6棟)をしているニャルKといいます★ 年収300万時代は風呂なしアパート住→仕事頑張って年収&貯金&属性向上→不動産投資開始→1棟目失敗で売却損→勉強して不動産8年目で家賃年収1900万超☆ 法人設立済、宅建士試験合格、簿記2級合格🐱 twitter:https://twitter.com/nyaruKei